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吉田浩章
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コラムコラム123 審判や調停に基づく相続登記(不動産登記)審判・調停に基づく相続登記の必要書類相続登記をする際には、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書であったり、被相続人の戸籍謄本を遡って収集し、法務局に提出することになります。 しかし、家庭裁判所で調停や審判が行なわれていた場合は、家庭裁判所が「相続人が誰であるか」という前提段階の審査をしているため、相続登記のために収集する書類は少なくなります。 ======================= 【審判の場合:相続登記の必要書類】 1.審判書の正本・謄本+確定証明書 2.登記を受ける相続人の住民票 【調停の場合:相続登記の必要書類】 1.調停調書の正本・謄本 2.登記を受ける相続人の住民票 ※審判の場合と違って、調停の場合は、確定証明書は不要です。 ======================== 被相続人・相続人の戸籍謄本も不要◎被相続人の戸籍謄本は不要です。 →「審判書に死亡年月日がなければ必要」とされていますが、審判書や調停調書に記載されているのが一般的です。 令和6年の取扱い事例では、調停調書に被相続人の本籍、住所(登記上の住所)が記載されているものの、「死亡日の記載がない」という案件がありましたので、死亡後の記載が分かる戸籍謄本を添付しました(R6−113)。 調停中に、事前に、調停調書の条項自体は確認させてもらっていましたが、「死亡日の記載がない」というのは、想定外でした。 被相続人の住所証明書の要否◎被相続人の住民票除票は、通常の相続登記であれば、登記簿上の住所から最終住所までの沿革を証明できるものが必要です。 しかし、調停や審判に基づく相続登記の場合、今までの取扱い事例では、下記のようになっています。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 審判書に記載の「登記簿上の住所」と、実際の「登記簿上の住所」が一致していれば、「被相続人の住所証明書」は不要。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 審判書の記載の「最後の住所」と、「登記簿上の住所」が一致していなかったケースでは、相続開始から年月が経過しており、最後の住所の証明書の収集ができませんでした。審判を担当された弁護士さんも、裁判所に最後の住所の証明書を提出されたわけではないとのことでした。 この時は、法務局に事前照会の上、審判書に記載の「登記簿上の住所」と実際の「登記簿上の住所」が一致しているため、「被相続人の住所証明書は不要」の扱いをしてもらったことがあります。 また、同じく、調停調書記載の「最後の住所」と実際の「登記簿上の住所」が一致していなかったケースでは、調停調書に記載の「登記簿上の住所」と実際の「登記簿上の住所」が一致しているため、「被相続人の住所証明書」は付けずに相続登記を申請し、そのまま通りました。 さらに、調停調書に複数の不動産があり、「登記上の住所」として違う住所が書かれていたケースでは、登記上の住所との沿革がつく住民票除票を添付して補っています。 「登記上の住所」が一致していれば証明不要の傾向明確な先例は見当たらず、『最後の住所と登記簿上の住所が一致していない場合は、被相続人の住所の証明が必要である』とされている情報もありますが、今までの例では、『審判書や調停調書に記載されている登記簿上の住所と、実際の登記簿上の住所が一致していれば、被相続人の住所の証明書は不要』だという結果になっています。 それと、調停調書の「登記簿上の住所」が、実際の「登記簿上の住所」と違っていた場合は、調停調書記載の「最後の住所」と「被相続人の最後の住所の証明書の住所」が一致していることの証明を付けて、相続登記の申請をしました。 また、審判書には「最後の住所」の記載しかなく、」「登記簿上の住所」の記載がなかったケースでは、「被相続人の最後の住所証明書の住所」が一致していることの証明を添付して、相続登記の申請をしています。 ◎参考先例◎参考先例 ・「遺産分割調停(審判)に基づく相続登記の申請書には、戸籍謄本の添付は要しない(昭和37年5月31日の先例)」 ・「遺産分割の調停が成立し、これに基づき相続登記を申請する場合の相続証明書としての調停調書は、その謄本で足りる(登記研究527号)」 (最終更新 令和6年10月8日) 堺市の司法書士吉田法務事務所 司法書士 吉田浩章 このコラムは、ご参考までに情報を提供しているものです。
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