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コラム

コラム116 祖父の相続と父の相続放棄の可否(不動産登記)

再転相続とは


複数回の相続が発生している場合。
例えば、祖父が死亡したものの、祖父の相続について何も手続きしないうちに父も亡くなった場合の相続を、「再転相続」と言われたりします。

 祖父(令和5年12月死亡)
    |
 父(令和6年1月死亡)
    |
 相続人:子 

子としては、父の相続人であると共に、祖父の相続について、父の相続人としての地位も承継しています。この場合、子の「相続の承認」、もしくは「相続放棄」の可否については、下記のとおりです。


再転相続の場合の放棄・承認の可否

 
祖父→父と、続けて相続が発生した場合、子の「放棄・承認の選択」は、下記のパターンで「可」「不可」が分かれます。

(1)祖父:相続     父:相続     → 可
(2)祖父:相続放棄  父:相続放棄  → 可
(3)祖父:相続放棄  父:相続     → 可
(4)祖父:相続     父:相続放棄  → 不可
  
根拠は昭和63年6月21日の最高裁判例で、下記のように説明がされています。

 (T)子が父の相続を放棄して、もはや父の権利義務を承継しなくなった場合には、子はこの放棄によって父が有していた祖父の相続についての承認または放棄の選択権を失うことになるのであるから、もはや祖父の相続につき承認または放棄をすることはできない。

(U)子が父の相続につき放棄をしていないときは、祖父の相続につき放棄することができ、かつ、祖父の相続につき放棄をしても、それによって父の相続につき承認または放棄をするのに障害にならない。

(V)その後に子が父の相続につき放棄をしても、子が先に再転相続人たる地位に基づいて祖父の相続につきした放棄の効力が遡って無効になることはない。

したがって、子が父の相続を放棄した以上、祖父の相続だけを受けることはできない、ということになります。

理屈から考えると、ごく当然のことではあるのですが、では、祖父名義の不動産について、子が父の相続放棄をしている場合、不動産の登記名義人には誰がなるのか。

この場合、父が祖父の相続人であることに変わりはありませんので、一旦「亡父」名義で登記を入れた上、「亡父」の相続人に名義を変更することになります。


「相続を知ってから3か月以内」の熟慮期間計算


なお、再転相続の場合、「相続開始を知ってから3か月」の熟慮期間については、祖父の相続についても、父の相続開始を知った時から計算します。

父の相続開始を知ってから3か月以内であれば、祖父の相続開始から時間が経過していても、相続放棄の申立は可能、ということです。


「代襲相続」との違い


「祖父→父」の順番に発生する再転相続と違い、「父が先に亡くなった(令和3年)後に、祖父が亡くなった(令和5年)」場合は、代襲相続と言われるケースです。

 祖父(令和5年月死亡:第2の相続)
    |
 父(令和3年死亡:第1の相続)
    |
 相続人:子 

代襲相続の場合は、子は、祖父の相続について、直接の相続人となります。父の死亡時(令和3)に、父の相続放棄をしていたとしても、祖父の相続(令和5年)を受けることができます。


◎司法書士吉田事務所からのご案内


堺市の司法書士吉田事務所では、家庭裁判所での相続放棄の手続きに、ご対応できます。

相続放棄は、「相続開始を知ってから3か月」の制限がありますが、相続財産があるとは知らなかった、また、亡くなられたこと自体知らなかった場合など、3か月が経っていても相続放棄が認められたケースも、取り扱っています。

相続放棄、相続手続きは、堺市堺区、三国ヶ丘徒歩4分の、司法書士吉田事務所にご相談下さい。

                               
                              (最終更新 令和5年11月23日)

                                堺市の司法書士吉田法務事務所
                                  司法書士 吉田浩章
                                             
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