コラム「吸収合併の手続きと登記のポイント」　ご相談は堺市堺区の司法書士吉田法務事務所へ

株式会社の吸収合併のポイント　

株式会社の吸収合併の手続きについて、実務上、問題になったことも含め、ポイントとなる点をまとめています。

合併契約書の印紙代　

合併契約書には、４万円の収入印紙を貼付。

印紙税対策で、当事務所では、４万円の収入印紙を貼った合併契約書は存続会社が保管。消滅会社はコピーを保管する、ということで、契約書にも記載することが多いです。

１００％子会社（消滅会社の株主は、存続会社）にした上で合併するケースが多いため、でもあります。

株券発行会社ｏｒ株券不発行の会社　

消滅会社が株券発行会社である場合は、株券等提出手続きが必要です。

但し、株券を発行していない会社については、「株券不発行」の記載をした株主名簿を記載することで、株券等提出手続きは不要。株主名簿の証明者は、当事務所では消滅会社の代表取締役。証明日は、効力発生日の前日にしています。

登記簿上「株券の発行に関する定め」の登記がなければ、発行していない会社であることが明らかであるため、特別な添付書面は不要。

合併公告は「官報」での公告が必須　

登記上の「公告する方法」に関わらず、合併公告は、官報で行う必要があります。

株式会社の場合は、直近の決算公告をしている紙面、掲載日と掲載ページも記す必要があります。

消滅会社が有限会社の場合は、公告義務がないため、「計算書類の公告義務はありません」と記すことで足ります。

債権者への個別催告　

「債権者」の範囲については、会社法上、明らかにされていません。

何千万円、何億円の長期の借入金がある金融機関も、１万円程度で、毎月継続的な支払いをしており、一時的に買掛金が生じている取引先も、債権者に変わりがない、ということになります。

個別催告の要否については、基本的な考え方を司法書士からお伝えした後、各会社に判断してもらっているのが実情です。

個別の催告漏れを防ぐために、官報とその他の新聞紙、二重に公告をする、という選択肢もあります。一般的には、他紙の掲載料は、官報より高くなるため、二重に公告することで、公告費用は高くなります。

コストと手間、催告漏れによるリスクとの兼ね合いで検討します。

株主リストの作成者　

組織再編に関する株主リストの作成者については、法務省のサイトに、掲載されています。

消滅会社の株主リストについても、作成者は存続会社の代表取締役とされている点は、注意が必要。司法書士としても、違和感がある部分です。

種類株式発行会社の場合　

種類株式発行会社の場合は、「ある種類の株主に損害を及ぼす恐れがある」場合に該当するため、種類株主総会の特別決議が必要。

但し、「種類株式が、種類株主総会での議決権がないこと」が定款で確認できれば、議事録は不要。登記事項ではないため、定款を確認しないと法務局では分からない（令和３年神戸管轄事例）、ということになります。

種類株式発行会社の合併手続き、特有の注意点です。

合併の登記申請書を提出する法務局　

存続会社と解散会社の法務局の管轄が異なる場合、存続会社を管轄する法務局に申請します。

オンラインシステム上の記載は、「宛先登記所」はいずれも存続会社を管轄する法務局。消滅会社の申請データーは、「経由　有」にした上、（管轄登記所）は消滅会社を管轄する法務局、とします。

登記の審査は、存続会社を管轄する法務局で終わった時点で、消滅会社についても「登記に関する手続き完了」となるものの、消滅会社はその後で「登記手続中」となります。

消滅会社の閉鎖謄本は、しばらく取得することはできません（令和５年の事例では、火曜日にオンラインシステム上で完了→木曜日に消滅会社の「登記手続中」が解除になり、登記簿謄本が取れる状態になっています）。

合併登記に必要な登録免許税　

資本金を増加する場合は、税率１．５／１０００。

但し、消滅会社の資本金を上回る場合は０．７／１０００。
３万円に満たない場合は３万円（ヘ）とされています。

但し、資本金を増加しない場合、登録免許税の区分は「その他」の変更事項として、「ツ」区分（組織再編の手続　第２版 　中央経済社Ｐ１５７）となります。

専門書のあちこちに「同時に目的変更、商号変更をする場合は、「別途登録免許税を加算するものとする」という記述がありますが、「資本金が増加しない」場合は同区分の「ツ」になるため、適用されません。

資本金を増加させない合併と、目的変更を同時にする場合、登録免許税は合算して３万円。

資本金を増加するものの、結果的に３万円に満たなかった場合と、元々、資本金を増やさない場合とで違いが出てくる、という話になります。

★司法書士吉田事務所からのご案内

司法書士吉田事務所では、株式会社の吸収合併の登記を取り扱っています。

今までの取扱い事例では、全て、会社さんと元々のお付き合いがある場合、もしくは、税理士さんと元々のお付き合いがある場合です。

会社の事情を把握し、税務上の問題も密接に絡むことから、面識のない会社さんからのご依頼の場合は、顧問の税理士さんが、合併手続きに慣れておられることを、受任の条件とさせてもらっています。

商業登記、会社の合併登記のことは、堺市堺区、三国ヶ丘駅徒歩４分の、司法書士吉田事務所にご相談下さい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（最終更新　令和６年１１月１６日）

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　司法書士　吉田浩章