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コラム

コラム70 過去に作成した遺言書の書き換えをしたい時(遺言)

遺言書の書き替えは可能です 


遺言書作成に関するご相談の中には、下記のご相談があります。

1.「新しく遺言書を作りたい」
2.すでに遺言書を作られている方からは、「遺言書の書き換えをしたい」

過去に作った遺言書と、違う内容の遺言を残したい場合、どのようにすればいいか。

民法では、

◎遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回できる(民法1022条)。

◎前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で撤回したものとみなす(民法1023条)。

と定めています。


遺言書の撤回+書き替え 


遺言書の内容を書き換えたい時の方法は、上記のとおり、

1.撤回する
2.抵触する内容に書き替えする 

ということになります。

例えば、『A不動産を長男に相続させる』という遺言書を作成した後、後日、やはり「次男に相続させたい」と考えた時は、

『A不動産は次男に相続させる』という内容の遺言を改めて作成すれば、「長男に・・・」と書き残した過去の遺言を撤回したことになります。

遺言書作成のお手伝いさせていただく立場としては、念のため、過去に作成された遺言書の内容も確認させていただくようにしています。

事情や気持ちの変化によって、また、内容が抵触しない部分について、複数の遺言書が存在しているとなると、後日「どちらが有効なのか」という問題になる可能性もあります。

「年月日作成の遺言を全て撤回する」とした上で、遺言書の作り直しをされることが多いです。


遺言書の破棄


ちなみに、民法1024条では、下記の定めがあります。

【遺言書又は遺贈の目的物の破棄】
第1024条 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。 

遺言書を、公正証書で作られている場合に、「手元にある遺言書を破ればいいのか」と質問を受けたことがありますが、遺言公正証書の場合は、原本が公証役場に保管されています。

手元にある正本、謄本を破棄したとしても、撤回したことにはなりませんので、「撤回する旨の遺言書」を作成するか、新たに遺言書を作ることになります。


「相続させる」とした妻と離婚した場合 


「妻に相続させる」とした遺言書を作った後、離婚した場合はどうなるのか。

この点については、「相続法と登記(日本加除出版)」の291ページに記載があります。

 「登記官としては、原則として、当該遺言書の内容(文言)及び戸籍謄本等の記載から、その受否を判断せざるを得ませんので、当該遺言をもって遺贈の趣旨と解して、これを受理することはできないものと考えられます。」

但し、効力を争う訴訟において、認められる余地もある得るとされていますので、争いにならないよう、

1.撤回する遺言書を作成する
2.「妻への相続」ではなく、「離婚した元妻に遺贈する」旨の遺言書を作成する 

以上の方法を考えましょう。


遺言書を撤回する自由は奪うことができない 


遺言書を撤回する権利は、奪うことができません。

 【遺言の撤回権の放棄の禁止】
第1026条 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。   


★司法書士吉田事務所からのご案内


「遺言書の撤回」は可能ですが、時には、親族間の争いに起因することもあります。

遺言書の作成、遺言書の執行の現場に携わる者として、遺言書をめぐって、争いが生じないことを願っています。

堺市の司法書士吉田事務所では、遺言書作成のご相談に関する手続きをお受けしています。

遺言書の作成、遺言書による不動産の名義変更のご相談は、堺市堺区、三国ヶ丘徒歩4分の、司法書士吉田事務所にご相談下さい。

                                                (最終更新 令和6年2月23日)

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このコラムは、ご参考までに情報を提供しているものです。
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