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コラム

コラム6 合同会社 運営上気を付けること(会社登記)

合同会社は設立しやすい反面、定款作成時点で要検討

合同会社は、株式会社に比べて設立費用が安いため、法人格を持つためには負担が少ない。設立しやすい反面、合同会社特有の問題点があります。

このページでは、合同会社の定款上、特に、「他人と合同会社を運営する場合」に気を付ける点を掘り下げて、ご説明しています。

合同会社は「役員=出資者」であることの問題


株式会社の場合は、出資者と役員は別ですが、合同会社の場合は「役員=出資者」であるため、役員になる際には、出資も必要。役員が辞める場合、資本金にも変動が及びます。

役員の入退社によって資本金に変動があると、その都度資本金の変更の登記が必要になります。

資本金の減少の場合は、官報公告や債権者への催告が必要になる等、手続きが煩雑です。

資本金に変更が及ばないよう、役員の退社と共に、出資持分の譲渡をしてもらうことで、資本金の変動は避けられます。但し、資本金を変動させないためには、「交替で役員になる人にも、出資してもらう必要がある」というのが注意点です。


役員が退社する時は、持分を譲渡してもらうのがベター


役員Aと役員Bの合同会社で、役員Bが退社するとします。
役員Bが出資した分を払い戻すと、資本金30万円減になり、債権者保護手続きが必要。手続きが大変です。

役員A 出資70万円 
役員B 出資30万円  →退社に伴い、出資分を払い戻すと、手続き上煩雑
    ↓

この場合、役員Bの退社に伴い、Bの出資持分を、新たに役員になるCか、役員Aが買い取る形にできれば、資本金への影響は避けられます。

役員A 出資70万円 
役員B 出資30万円  →退社に伴い、C(交替の時)かAに持分30万円を譲渡

なお、合同会社の役員の任期は、株式会社の場合のような制限(最長10年)がないため、役員に変更が生じない限り、重任の登記は不要です。


合同会社の業務執行権


合同会社の場合、定款に別段の定めがない限り、出資額によるのではなく、出資者の頭数で決定するため、100万円出資している人も、10万円しか出資していない人も、発言権は同じになります。

主従の関係がある場合は、「出資1万円につき、1個の同意権、承諾権、承認権を有する」とするなど、定款上の手当てが必要です。


社員(役員)死亡時の持分処理は、定款の定めによります


合同会社の役員が死亡した場合の、出資持分の処理方法は、3つの方法が考えられます(定款で決めます)。

(A)退社する
(B)その相続人が持分を承継する
(C)その相続人が持分を承継することができる

退社するとなれば、資本金の減少を伴うため、官報公告費用も含めた、債権者保護手続きが必要。
費用負担が必要です

★退社に伴って資本金を変動させる場合の費用
登録免許税   40,000円
官報公告費用(概算)   50,000円
司法書士報酬  110,000円
合計  200,000円
※司法書士報酬は、司法書士事務所により異なります。


合同会社の役員死亡時の登記方法は、諸説ある状態 


一方、相続人が持分を承継するとなると、法定相続人を役員として登記する必要が生じます。

遺産分割協議で、特定の相続人が相続すると定めた場合であっても、一旦、相続人全員を登記することになり、家族経営ではない場合、他人が役員に名を連ねることになります(『持分会社の登記実務 第2版 令和3年発行』青山修著 民事法研究会)。

「相続人BCD間で、Bが持分を相続するという遺産分割協議が成立した場合、Bのみが持分を承継し、社員となるか」について、私見では「消極に解します」とあります(『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』45ページ 立花宏著 中央経済会)。

しかし、諸説ある状態です。

同様の設問で、令和5年に発売された『商業・法人登記500問(神崎満治郎・金子登志雄・鈴木龍介著)』では、「登記先例によれば、遺産分割協議に基づき、特定の相続人の加入の登記はできないとされていますが、近年、設問のような登記をすることが可能という見解も有力になっています」とされています。

また、『商業登記ハンドブック第4版(松井信憲著 商事法務)』の657ページでは、「私見では、遺産分割の効果は遡及しないとする説は、合名会社合資会社についてであり、合同会社には該当しない」とされています。

また、「定款で『社員が死亡した場合には、その相続人は、他の社員の承諾を得て、死亡した社員の持分を承継する』と定めている場合には、共同相続人全員の加入の登記をする必要はないと解されている(櫻庭倫著「平成26年商号・法人登記実務における諸問題}民事月報70巻5号49頁)」とも書かれています。

『登記情報668号の100ページ目以降』では、座談会の中で、「持分は遺産分割の対象になり、遺産の分割は、相続開始時に遡って効力を生ずると思うのよ」という記述がありましたが、登記の添付書類には、言及がありません。


当事務所の取扱い事例から 


合同会社の社員死亡時の登記について、司法書士吉田事務所の取扱い事例では、定款上

「社員が死亡した場合には、他の社員の同意権等の過半数の承諾を得て、持分を承継して社員となることができる」となっていました。

法務局に文書で照会したところ、

1.遺産分割協議書は不要
2.社員となる人が、相続人であることが分かる戸籍謄本
3.他の社員の同意書

以上を添付することで、直接、社員の変更登記をすることができる、という回答でした(令和6年 神戸本局)。

「他の社員の同意を得て」という文言がなければどうだったのか、についてまでは、確認できませんでした。

なお、これは、あくまでも、「役員(社員)として在任中」に、「突然の出来事で亡くなってしまわれた」場合のデメリットです。

合同会社の社員(役員)が死亡した時の登記方法は、現時点では、法務局によって、見解が異なる可能性があります。


出資者1人の場合の問題


前記「役員死亡の時の問題」について、出資者が1人の場合に、「社員は死亡により退社する」と定めると、出資者=役員が1人も存在しない状態になり、合同会社は解散することになります。

従業員や取引先に対する影響が大きいため、合同会社を1人で始められる場合は、万が一の事態になった時に、会社をどのようにされるか(相続人が承継されることが可能かどうか)の検討が必要です。

                                                (最終更新 令和6年11月15日)

                                                堺市の司法書士吉田法務事務所
                                                  司法書士 吉田浩章                                            

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